建築士の仕事内容について解説!

建築士の辛さ

建築士になるためには、高度な専門知識と豊富な経験が要求されることから、お金を払う側の建築主(御施主様)からも、一定の敬意を抱いて接してもらえ、「先生」と呼ばれる専門職であることは間違いありません。

ただ、日本で建築士資格を有する人の数は、優に20万を超えているといわれています。また、建築士の資格は取得していなくても、高度な建築の知識を持った専門家はたくさんいます。

日本の建築界の裾野は広く、人材は建築に関係した分野以外にも多岐に渡り活躍しています。そうしたことから、たとえ「先生」と呼ばれる建築士であっても、プロジェクトの中で一人建築士だけが超越的立場に立つのかと言うと、そういうわけではなく、むしろ建築を発注する側にも複数の建築専門家が存在することは決して珍しくありません。端的な例がデベロッパーです。

現在、建築の仕事で大きな割合を占めるマンションは、そのかなりが民間デベロッパーの発注となっています。そしてデベロッパーの中には、多数の建築専門家が在籍し、用地の仕入れ、企画業務などをこなし、実際に作るマンションの具体的なデザインを建築士に発注してきます。

つまり、建築士はそうした発注サイドにいる建築専門家がアウトラインを決めた中で、相手の掌の中で作業に取り掛かることになるわけです。

ここでとりわけ重くのしかかるのは、レンタブル比です。デベロッパーサイドで決めた収益ラインを割り込む計画は、いかにデザイン的にもユーザーのために優れていても、却下されてしまうのです。

もう少しレンタブル比を下げられれば、もっといい建物に出来るのにと思っても、そうした提案は建築主側の建築専門家にとってはナンセンスなのです。

建築士という仕事はそれ自体素晴らしい魅力に富んでいます。しかし、こうした現実と向き合わなくてはならないオファーが多々あるのもまた現実であり、ジレンマはとても大きいものがあります。

建築に制約を掛けて来る直接の相手が建築専門家であり、建築士である場合、無力感に近い感情にとらわれてしまうこともあります。

もっともそうは言っても、そうしたしがらみ、制約の中で、可能な限り最善の案を作ろうとするのが建築士でもあります。

これは建築士の魂、性がそうさせるのです。先ほど、建築士の仕事は素晴らしい魅力に富んでいると申したのは、厳しい条件の中でもまれて、それでもいい建物を作り出そうとする執念に、建築プロフェッションの精髄が感じられるからに他なりません。

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